Made in Japan

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最近メインで使用しているベースはFreedom Custom Guitar Researchというブランドのジャズ・ベース。シンセサイザーやサイレントドラムなどでは日本製の機器が大きな評価を得ているものがありますが、ギターやベース、多くの録音機器等では歴史ある海外の一流ブランド製品が音楽に関わる多くの人々の憧れとして揺るぎない地位を築いています。

しかし、最近は国内でも一流の職人が独自のブランドを立ち上げ、海外ブランドを超える精密な仕事ぶりによって、プロアマ問わず急速に評価が高まっている様に感じます。
Freedomは東京の下町を拠点とする工房で、長い間ヴィンテージ楽器のリペアやカスタマイズに関わって来た技術と経験が、その楽器製作に活かされている様です。実際にその楽器を手に取ってみると、手にした感触がまるでフェンダーのヴィンテージを思わせるフィット感があり、出音もパッシブベースらしい暴れ感をともなった現代的なもので、「これは!」と思わせるものがありました。もちろん、一緒に弾き比べた海外製の楽器もそれぞれに魅力はありますが、それらは値段が2倍であったりもし、そんなコストパフォーマンスを考えるとFreedomの楽器は抜群とも言えるものでしょう。また、国内で切り出された木材を数年かけて処理している為、使用し始めて半年以上経ちますが、ほとんどネックが反ったりする事もなく、トラブルがないのも嬉しいところ。(フェンダー・カスタムショップ製の新品などは2〜3年の間はネックが順反り逆反りを繰り返し、リペアに出している時間の方が長いくらいだったりする事もあります。)国内外の一流アーティストも多く使用し始めている様ですし、今後更に注目を集めるブランドだろうと思います。また、他に試奏した同じく国産ブランドのSugiも特徴ある素晴らしいパッシブベースでした。車や電化製品、アニメだけでなく、楽器においても今後のMade in Japanに期待したいところです。

昨日私の病院に歯科材料を取り扱ういくつかの業者から「新型インフルエンザの影響でマスクが欠品」とのFAXが届きました。次の取り扱いがいつになるかも不明との事。ま、マスクはしばらくストックがあるのですぐには困らないものの、新型インフルエンザに関する政治や報道の在り方は問題も多いように思います。そもそもこうした感染が広がりつつある中(つまり通常の流行風邪同様に「ある程度の流行はありうるだろう」と予想される中)、テレビの速報まで流して「何人目の感染者を確認。」「大阪で、東京で、川崎で、***高校の女子生徒が、、、」などと報道される事には強い違和感を感じます。ようやくここに来て「鳥インフルエンザ(人に感染した場合強毒性が予想される)の対応が新型インフルエンザに適応されるのはおかしい」、といった意見が反映された対応策も出されたようですが。また、「早めにかかって耐性をつけて」という常に変異し続けるウィルスの特徴を考慮しない意見もインターネットなどでは見受けられますね。やはり総理大臣なり、厚生大臣なりが、正しい知識を整理し、「何の為に」「どんな対応を」「どうした優先順位で」なすべきかを繰り返し伝える事が必要でしょう。

『生物と無生物のあいだ』が話題となった福岡伸一さんの新著『動的平衡』でも、そんなウィルスの憎らしい程の振る舞いが分かりやすく描かれていました。細胞を持たず(ウィルスは核酸とタンパク質のみからなる粒子)、栄養を摂取せず、排泄も呼吸もしない。そんなまるで物質のような存在が強力な自己複製能力をもち、しかも常に変異し続けてワクチンに耐性を持ち、新たな宿主を開拓する(それによって豚から人へといった種の壁を乗り越えた感染をおこす)、、、。不思議で不気味な存在ですね。福岡氏の文章は毎週週刊文春でも読んでいますが、細菌感染の導入に医師としての森鴎外がおかした失敗のエピーソードが登場するあたり、流石つかみが上手いな〜と思いました。

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帰れない二人

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昨日、亡くなった忌野清志郎さんの告別式の様子が何度も報道されていました。「青山ロックンロールショー」と題されたライブ葬に4万人以上のファンが集ったとの事。RCサクセションの楽曲を皆で合唱するファンの姿を見ていて、清志郎さんが長いキャリアにおいてファンに伝えたメッセージの力強さを実感しました。「雨上がりの夜空に」「スローバラード」「トランジスタ・ラジオ」などはファンならずとも知っている曲で、そうした皆で共有出来る楽曲を持つアーティストは現在ではごく限られた存在になっていますね。少し前に近田春夫さんが週刊文春に「本当のヒット曲というのはお金を払わずとも皆が知っている曲って事。今はあるアーティストの限られた信者がリリースされたら必ず買うというだけのものになった。」というような事を書いていて、「その通りだな〜。実際自分もオリコンチャートにのる曲のほとんどは一度も聴いた事がないし。」と思いました。ヒットする事はもちろん素晴らしい事でしょうが、単に消費されて忘れられて行くだけの音楽にはどこかしら寂しさも感じられます。(こうした状況は結構最近になってからと思います。ミスター・チルドレン、スピッツ、GLAYなどの数年前の楽曲は買わずとも口ずさめるくらいに知っていましたし。宇多田ヒカルさんの「Automatic」あたりまでは、、、。要するにラジオやテレビでの音楽の扱いやメディアの影響力の変化などが要因でしょうか?)

私は熱心なRCサクセションファンではありませんでしたが、いくつかの有名曲以外で大好きな楽曲が井上陽水さんと共作した「帰れない二人」です。「心もよう」のB面で、名盤『氷の世界』にも収録されていますね。陽水&忌野さんのロマンが現実の物悲しさとともに伝わる名曲。あと、一昨年、歌手の浅川マキさんとお話ししていた際に、清志郎さんが、ナッシュビルで録音した作品を浅川さんに聴かせにやって来て、とっても嬉しそうにしていた、という話を聞き、ミュージシャンらしい無邪気さがとても微笑ましく思えた事も覚えています。

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井山大今ライブ@Blues Alley Japan

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昨日は目黒Blues Alley Japanにて“井山大今(井上鑑×山木秀夫×高水健司×今剛)”のライブを行いました。“井山大今”は現在shiosaiにてアルバムのレコーディングが進行中で、このライブの企画時にはアルバム発売を間に合わせられたら、という考えもあったのですが、メンバーのスケジュール調整が非常に困難で(メンバー全員がメジャーアーティストの長期に渡るツアーとリハーサル、スタジオワークを非常に入り組んだ形でこなしているため、昨日一日のライブを調整するだけでも大変な事なのです。)、まだ少しのダビング作業を残しています。

ライブは制作中のアルバム収録曲から数曲を初披露と、この日のライブのホストであった井上鑑さんの楽曲を中心にしたものでしたが、どの楽曲も長年共にキャリアを積み重ねて来た“井山大今”ならではの見事なバンドサウンドが展開されていました。井上鑑さんは多種多様な音楽的引き出しを持っていますが、MCでも名前が挙がっていたバルトークなどの現代音楽への造形が深く、ソロやバッキングに出てくる所謂アウト・フレーズなども一般的なジャズプレイヤーとはだいぶ違うニュアンスがとても創造的に響きます。山木さんのプレイはいつもこのブログでお話ししている通り。高水さんとのコンビで繰り出すアル・ジャクソン的なシンプルかつ深いグルーヴから、ハードなビートとジャズ、フリー、レゲエの要素を織り交ぜて瞬時に場面を切り替えるドラミングは見事!。高水さんは代名詞と言えるフェンダー・ベースでなく、最近愛用しているミュージックマン・スティングレイのフレッテッドとフレットレス、5弦ベースをプレイ。歌心に満ちたジェマーソンばりのプレイ、ジャズ系のソロ、フレットレスによる見事なテーマ演奏がスティングレイのアクティブサウンドによってとてもクリアに聴こえていました。今さんはいつ聴いてもため息がでるようなギターサウンドとスピード感溢れるスリリングなプレイで会場を盛り上げていました。以前寺尾 聰さんのバンドで共演したドラマーのヴィニー・カリウタ氏が今さんのプレイを「自分が共演したギタリストで間違いなく5本の指に入るギタリスト。」と絶賛していたという話を井上鑑さんから聞いた事があります。実際その通りだろうと思います。また、ゲストの山本拓夫さんもヤン・ガルバレク的ヨーロピアンなセンスを感じさせる素晴らしいサポートでした。

・・・という事で、非常に充実したライブ、会場の階段まで立ち見で埋まる超満員の観客の皆様も満足して頂けたと思います。アルバムの方は5月中には録音を終え、同時進行でゴウ・ホトダさんによるミックスも始まる予定です。リリース後には今度は私が主催したライブを行いたいと思っていますので、ファンの皆様は楽しみに待っていて下さい。

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i-pod 新調

1年くらい前から調子が悪かったi-podが遂に御臨終となり、新しくi-pod classicを購入しました。これまで使っていたのは4年半以上前のモデルですから、届いたモデルは薄く、液晶は大きくなり、とてもスタイリッシュに感じました。私がi-podで音楽を聴くのはもっぱら毎晩10時過ぎから30〜40分程の愛犬の散歩の時。昨日も適当にシャッフルして聴いているとポール・サイモン〜マイケル・ナイマン〜ジョン・サーマン〜808 State〜ジャック・ブルース〜kenji Jammer〜エリック・ドルフィー〜レオン・ラッセル〜エイドリアン・ブリュー、、、と、支離滅裂な選曲(笑)。これは音楽を大量にデータとして保存出来るi-podならではの聴き方ですね。

井上鑑さんと、4月28日にブルースアレイ・ジャパンで行なう“井山大今(井上鑑×山木秀夫×高水健司×今剛)”のライブ(shiosaiは後援として関わっています)について電話で相談。チケットの売れ行きはとても好調との事でありがたい事です。で、せっかく多くの人が見に来てくれるなら何か皆さんにプレゼントでも、という話になり、いくつかのアイディアも浮かびました。制作中のアルバムは今さんのギターダビングとミックスを並行して進めて行こうという段階ですが、リリースに先駆けてこの日ならではのプレゼントを会場の皆さんにお届けしたいと思っています。

同じくブルースアレイでは4月21日に『DuoRama2 / 布川俊樹&納浩一』の発売記念ライブも行なわれます。その布川さんのHP内のQ&AコーナーでQ:「ジャズ・ギタリスト、スタジオ・ミュージシャンになりたいのですが、、、」という質問に対する布川さんの答えがとても面白かったです。丁度読んでいた『無趣味のすすめ/村上龍』に以下のような言葉が記されていました。

基本的に趣味は老人のものだ。好きで好きでたまらない何かに没頭する子供や若者は、いずれ自然にプロを目指すだろう。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。つまり、それらは私達の「仕事」の中にしかない。

私自身はあまりプロやアマチュア、仕事と趣味、を分けて考えた事はなく、それらは結構流動的だと思うんです。例えばプロとして10年やれたとしても怪我や病気、不況、人生における様々な事情、時代の流れとのギャップ(“〜〜〜の神様”“時代の寵児”なんてもてはやされた人のやり方が10年後に通用する事は意外と少いですね。でもそれは彼らの“プロとしてのこだわり”が招く事でもあって、時に尊敬すべき堕落だったりします。)、、、等々で上手く行かなくなる事もあるでしょう。ですから、物事はそういうリスクを引き受ける覚悟が前提となるべきであって、「プロとして順調に稼ぎ続ける」というのは理想的な結果論のようにも思えます。表現は違っても、布川さんや村上氏はとても大切な事を伝えてくれていると感じました。

我が娘は今日もご機嫌です(喜)。

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無垢

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早くも4月となり、伊豆高原駅周辺の有名な桜並木も満開となり、多くの観光客でにぎわっています。しかし私は花粉症で思考停滞ムード、、、。 ただ、昨年11月に産まれた愛娘の成長が日々の楽しみになっています。娘の無垢な笑顔を見る事ほど幸せな事はありません。

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ドラマーの山木秀夫さんが4月22日にマンツーマン・レッスンを行うそうです。山木さんというと、一般的に“孤高”“芸術家”もしくはスタジオにおける究極の“職人”なんてイメージで、レッスンやセミナーなどとはちょっと遠い場所にいる印象がありますから、これは結構プレミアムな企画ですね。山木さんがドラムによって創造する世界というのは、ジャンルにしばられたり、誰かに似ていたりする事がないのと同時に、古くから脈々と受け継がれる音楽の核のようなものを感じさせる点が、まさにワン・アンド・オンリーだと常々感じています。(ですから、ドラミングスタイルをほとんど変える事無く“孤高”と“職人”を両立できるのでしょう。) 山木さん本人に接し、一緒に音を出しながら、そこに何らかの哲学を感じられたら、「これから何をすべきか」が見えてくるのではないでしょうか?私がドラマーを目指す若者だったら絶対受講しますね。っていうか、受講してみるか~~!?(笑)。


定期購読している雑誌『STUDIO VOICE』が400号記念だとか。学生時代から読んでいて、方向性も結構変化していたように思いますが、写真、音楽、映画、アニメ、オカルト、、、と様々なカルチャー、サブカルチャーをちょっとひねった視点から切り取って見せてくれる編集が興味深く、多くの刺激をもらえたと思います。不況のあおりで多くの雑誌が休刊になっていますが、これからもタフに生き残って欲しいものです。

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“井山大今”ドラムレコーディング最終日

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11日は私のプライベート・スタジオにドラマーの山木秀夫さんがいらして『井上鑑×山木秀夫×高水“大仏”健司×今剛(通称“井山大今”)』作品のレコーディングを行いました。昨年から続けてきたレコーディングも大詰めとなり、今回は新曲3曲とオーバーダブ1曲の最後のドラム録りです。

今回、私も新曲の音源と譜面を受け取って予習(!?)していました。それらは今さん作曲の緊張感と微妙な脱力感が同居するワルツ、ジャパンやデュラン・デュランなどブリティッシュ・ロック〜ニュー・ウェイブの香り漂う楽曲、そしてヨーロッパの民族音楽を再解釈したような曲想かつ非常に複雑な拍子が交錯する楽曲(こういうのは井上鑑さんの独壇場ですね。譜面を見ると拍子が15/16、9/8、21/16、7/16、13/16、、、と移り変わる、、、笑)と、とても魅力的かつリズム面では非常にチャレンジングな楽曲が揃っていました。

で、この日山木さんが聴かせてくれたアプローチは、3拍子にレゲエフィーリングのドラミングによって浮遊感をもたらし、ガイドとして入っていたリズムループのパターンを譜面に起こして正確に叩いたドラムに更に2度の違ったアプローチのドラムを重ねてフレーズが次々に浮かんでは消える多層ドラミング、そしてめくるめく変拍子を豊かな歌心で歌いきった超人的プレイ!、、、と、これだけでアルバム数枚分の密度があるのでは?と感じられるくらい創造的なドラミングでした。

作品の方は今月あと2日程度のキーボード、ギター、ベースの録音を経て来月からはミックスに入る予定です。国内きっての実力派揃いのプロジェクトということで、既に多くのファンの方から応援メッセージを頂いていますが、皆さんに楽しんで頂けるエッジの立った聴き所満載の作品になってきていますので、どうかご期待ください!

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雑感(3.5)

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3月21日に発売となる『DuoRama2/布川俊樹&納浩一』のジャケットが完成しました!今回もshiosai作品のほとんどを手がけて頂いている須藤デザインに依頼しました。須藤さんとはプライベートでも仲良くさせて頂いていて、ここ4~5作品は相当に深いレベルでの意見交換をしながらジャケットデザインをまとめる事が出来るようになりました。私が最初に伝える漠然としたイメージから発展&具体化させ、私自身思いもよらぬアートワークが生み出される過程はいつもエキサイティングです。ジャケット裏面や盤面を通じてある種ストーリーのようなものが感じられますので、ファンの方々は是非手に取ってみてください。


先月、東京へ行った際に見た森美術館の“チャロー・インディア~インド美術の新時代”。インド社会は様々な矛盾や混乱を抱えつつ、同時に急速に近代化~都市化が進む、ある種の混沌が存在しているのでしょうが、そこで生れ落ちるアートに、私は何故か初期WARPが生み出したテクノミュージックに通ずるものを強烈に感じました。また、空き缶や廃材でインドの都市を浮かび上がらせた大きな作品の背景が六本木ヒルズから見下ろす東京の夜景だったりして、こうした企画を、そういう展示で提供するキュレーターや美術館の仕事は実に見事だな~と感心しました。

美術館の運営と言えば、金沢の21世紀美術館は現代アートの美術館でありつつ年間150万人を集客するという、大きな成果を上げているようです。館長の明確なコンセプト提示とそれを成果に繋げる経営、政治力は見事です。

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Always on the side of the egg

先日、村上春樹氏がエルサレム賞を受賞した事がニュースになっていました。ニュースでは「村上氏がスピーチでイスラエルに対する抗議を示した」旨が報道されていましたが、ネットでスピーチの内容を読んでみると(現地新聞はこちら)、氏の小説や人間に対するまなざしが非常によく伝わる内容でした。また、抗議についても、文化人の受賞スピーチにありがちな型にはまったものではなく、文学的な比喩を隠れ蓑(!?)にしつつ、相当踏み込んだ発言をしているのは胸に迫るものがありました。エルサレム賞というのは、“「社会における個人の自由」をめぐる優れた執筆活動に対して送られる文学賞”だそうで、皮肉にも社会システムが空爆という形で個人を死に追いやる事になってしまっているイスラエルに出向いてこうした主張を行った村上氏の行動は、同じ日本人として誇りに思います。

=以下一部抜粋=

"Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg."

If there is a hard, high wall and an egg that breaks against it, no matter how right the wall or how wrong the egg, I will stand on the side of the egg.

Why? Because each of us is an egg, a unique soul enclosed in a fragile egg. Each of us is confronting a high wall. The high wall is the system.

「“高くて堅固な壁と、それにぶつかって壊れる卵の間で、私はいつも卵の側に立つ。”」

「もし高く堅固な壁と、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、たとえどんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ。何故か?私達それぞれが卵であり、壊れやすい殻に閉じ込められたかけがえのない魂だからです。私達それぞれが高い壁に立ち向かっています。高い壁とはシステムのことです。」

I have only one reason to write novels, and that is to bring the dignity of the individual soul to the surface and shine a light upon it. The purpose of a story is to sound an alarm, to keep a light trained on The System in order to prevent it from tangling our souls in its web and demeaning them. I fully believe it is the novelist's job to keep trying to clarify the uniqueness of each individual soul by writing stories - stories of life and death, stories of love, stories that make people cry and quake with fear and shake with laughter. This is why we go on, day after day, concocting fictions with utter seriousness.

「私が小説を書く理由は一つだけです。個々の魂の尊厳を表出させ、そこに光を当てる事です。物語の目的はシステムの網に私達の魂が絡めとられ、品位を失う事を防ぐ為に、システムに対する警笛を鳴らし、光をあて続ける事です。私は小説家の仕事とは、生死の物語、愛の物語、人々が泣き、恐怖に震え、笑いに揺さぶられるような物語を通じて、個々の魂の独自性を明らかにしようとし続ける事と確信しています。というわけで、私達は日々一生懸命に“作り話”を“でっちあげて”いるのです。」

私の稚拙な訳ではあまり魅力が伝わらないかと思いますが、「たとえどんなに壁が正しく、卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」というような“まなざし”は我々が生きる上でとても大切なもので、それはもちろん「いつでも弱い者の味方」なんて事とは違う、もっと多面的で深遠な意味を含んでいると思います。また、“壁”というと、氏の代表的著作である『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』において暗喩的に用いられていた“壁”を思い出します。そして人の弱さや滑稽な部分を“神々しい”と尊び、実際それこそが人間の魅力であり、世の中の面白さであるという事を、氏の著作と翻訳作品は味わわせてくれていますし、成人する以前から村上作品の読者である私自身、それらの著作から大きな影響も受けています。中でも『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や村上龍氏の『愛と幻想のファシズム』の読書体験は強烈で、まさに“システムに対する警戒感、反抗心”を意識し、自分の想いや夢を結実させる為のシステムは自分自身で手にしていたい、という思いが芽生えるきっかけになりました。ですから「物語の目的はシステムに警笛を鳴らし、光をあて続ける事」というくだりも、心から納得の出来るものでした。

そんな“まなざし”について語った村上氏のスピーチに勇気付けられる人はとても多いと思うんです。人の弱みにつけこみ、揚げ足をとり、失態を笑い、他人の堕落を楽しむような事に付き合わされがちの今の日本人にとっては特に。ですから、是非ともこうしたスピーチを小さなニュースで終わらせず、真意が伝わる報道をして欲しいと思います。少なくとも自国の大臣の酩酊会見を執拗に報道し、2重3重に国益を損なうよりは、「日本人作家が戦火に燃えるイスラエルの授賞式にあえて出席し、作家らしい表現力に満ちたスピーチによって、政治家などより遥かに踏み込んだ抗議を行なった。」事の真意を受け止める事の方が、遥かに有意義であろうと思うのです。それはオバマ大統領の演説に勝る魂が込められたメッセージだったのですから。

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マスタリング@HeartBeat Studio

一昨日は来月後半にリリース予定である『DuoRama 2 / 布川俊樹&納浩一』のマスタリングをハートビート・スタジオで行いました。エンジニアはshiosai作品を数多く手がけてくれている竹中昭彦さん。竹中さんはミックスの方向性を尊重した音作りをしてくれます。明確に決めているわけではありませんが、私としてはナチュラルに仕上げたい場合は竹中さん、クリアに抜ける味付けを加えたい場合はFlair(ビクタースタジオ)の名匠である川崎洋さん、というイメージで仕事を依頼しています。

マスタリング・エンジニアというと、レコーディング現場で録音を担当するレコーディング・エンジニアや、ミキシング・エンジニアに比較して地味な印象があるかも知れませんが、実際はその手腕によって曲の印象は大きく変わります。音楽制作に詳しくない人でも、ステレオの音量設定は変わらないのに、あるCDは音が凄く大きく、あるものは結構小さく感ずる事があるのではないでしょうか?それもマスタリングの音作りの一例です。(どちらがいいという事ではありません。大きなレベルが入った音楽は迫力はありますが、同時にダイナミクスを犠牲にしている為に繊細な表現力を失っています。) また、作品の主なターゲットがCDなのか、ラジオなのか、もしくは音楽配信や携帯の着メロなのか、、、等々によってマスタリングで作る音も違ってきます。例えば音楽配信ではリスナーは圧縮された音を聴く事が多いので、当然そこで音質が変化します。ですから劣化を見越してあらかじめその帯域を強調して補っておくわけです。それらはまさに職人的な耳と経験に裏打ちされた作業で、ミキシングの時とは違った視点も必要になる為、マスタリングを専門にするエンジニアが必要になる事が多いのです。最近ではミキシングエンジニアやミュージシャン自身がマスタリングまで行うことも増えていますが、個人的な意見としては、そこで初めて作品に接する新鮮な感覚を持ったエンジニアが客観的な視点から必要と思われる味付けを加える事の意義というのは結構大きいだろうと思っています。

今回も竹中さんは的確な判断によるいい仕事をして下さいました。一緒に立ち会った布川&納両氏も大満足の様子。作品の内容については後日またここで紹介しようと思います。発売は3月21日の予定です。


で、発売に向けてプレス&印刷の手配をと思い、業者に連絡をとったところ、何と国内最大手のプレスラインが止まってしまっているとの事。(プレスを請け負う窓口としては多くの会社がありますが、実際にプレスを行う工場は大手が経営するいくつかのラインなのです。)流通末端の実店舗における音楽CD販売の不振は数年前から深刻さを増してきていますから、時間が経てば当然大元のプレス工場にも同様の影響はあるのでしょうが、最大手が停止とは驚きました。ま、今回は別のラインでプレス可能との事ですから問題ありませんが、今後を考えるとちょっと心配です。

「公益法人なのに儲け過ぎ。親族のみで利益を配分か?」などと話題になっていた漢字検定ですが、最近空いた時間にやっていたのが任天堂DSのこのソフト。ここ10年くらいほとんどの用件はメール、PCソフトで済ませる事が多く、文字を書く事はめっきり少なくなりました。で、こうやって改めて漢字の書き取り等をやってみると、中学生レベルのごく簡単な漢字が思い出せなかったり、「あれ?ここに点がつくんだったかな?棒が一本少ない?」なんて迷ったりする漢字も多くて大ショック。病院の昼休みの時間を利用してドリルに励む毎日です。こうやってブログを書きながらポンポン変換している漢字も、書いてみると「あれ?」となる事も多いのでしょう。

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井上鑑×山木秀夫×高水健司×今剛 ライブ情報

現在shiosaiでアルバムを制作中の“井山大今”(井上鑑×山木秀夫×高水健司×今剛)が4月28日に目黒ブルースアレイにてライブを行う事が決定しました!この日は所謂アルバム発売記念という事ではなく、レコーディング終了報告といった意味合いになるでしょう。(レコーディングは来週と、3月中旬に予定されており、その後ミックス・ダウンに入りますのでおそらくこの頃に音とジャケットがほぼ出来上がっているような予想です。)何はともあれ、豪華メンバーによるライブにご期待ください!


AKIRA INOUE Produce 2 Days @目黒BLUES ALLEY JAPAN
(目黒区目黒1-3-14 ホテルウィングインターナショナル目黒B1 03-5496-4381)

4月28日(火)*********
「井山大今」 アルバム発売記念スペシャル
OPEN 18:00 / START 19:30~×2st (入替無し)
井上鑑 Keyboards
山木秀夫 Drums
高水(大仏)健司 Bass
今 剛 Guitars
様々な音楽シーンで30年来培ったコンビネーション、数々のヒット作品を生み続けてきた4人が、
何と!初のアルバムをユニット「井山大今」(いのやまだいこん)としてレコーディング!
今春リリース予定のアルバム収録新曲や育て続けてきた佳曲のあれこれを。

4月29日(水)*********
「タタキタタ」 featuring YOSHIDA BROTHERS and FRIENDS
OPEN 17:00 / START 18:30~×2st (入替無し)
井上鑑 Keyboards
仙波清彦 Percussion
井上富雄 Bass
吉田良一郎 津軽三味線
吉田健一 津軽三味線

井上鑑音楽監督による吉田兄弟10周年記念ツアー「いぶき」参加アーティストを中心に新たなMIXTUREを。
参加メンバーの書き下ろし曲やセッション曲、仙波師匠の小技も輝きます。ツアー終了スペシャル打ち上げライブは超前向きな未知のコラボレーションです!回文タイトルの意味はご自由に解釈して下さい。でも5拍子です!?
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4/28・29両日とも
前売券:テーブル席(指定)\6,000 / 立見(自由)\5,000
当日券は各料金\500UP (各税込) ※4/29のみ枚数制限あり、1組4名
当日シートチャージ¥525が掛かります(ご飲食代精算際にお支払頂きます)。
予約: e+(イープラス) / ぴあ
予約/問合せ先: 予約受付時間/月~土/12:00~20:00 ※03-5740-6041
公演当日のお問合せ: [店頭]TEL:03(5496-4381/2) 迄
発売日(BAJ Club会員先行): 2月19日(木)12:00~
発売日(一般): 2月27日(金)14:00~ ※発売初日のみこちらの時間

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