ベル・エキセントリック
昨日の夕方知った「加藤和彦氏が軽井沢のホテルで自殺」のニュースには驚きと少なからぬショックを受けました。非凡な才能と独自のセンスで世界に出て行く事が出来た、というより、日本人だとかジャンルとかいう“くくり”を超越するスケールの大きさを感じさせるミュージシャン、と私は感じていました。氏の音楽は小学校の合唱で誰しもが歌う「あの素晴らしい愛をもう一度」から始まって、クルセイダーズ、もちろんサディスティック・ミカ・バンド、その後のソロ作品と親しんで来ましたが、中でも『ベル・エキセントリック』は極めつけの愛聴盤。ジャン・コクトー、ディアギレフ、ピカソ、ダリ、ストラヴィンスキー、ヘミングウェイ、シャガール、サルトル、アンドレ・ブルトン等々の芸術家が集う巴里の"狂乱の時代”に咲いた悦楽の宴を再現したコンセプトアルバムで、細野晴臣、教授、高橋幸宏、大村憲司、矢野顕子というYMOファミリーを引き連れてパリの城で録音された作品でした。私にとって、この作品はムーンライダーズがピエール・バルーと接近したり、清水靖晃さんがあえてボリス・ヴィアンの著作と同じ名をつけた『北京の秋』『うたかたの日々』、大貫妙子さんが教授と一緒に描いた一連のヨーロピアン作品、といった作品などと共通した世界観を感じさせるもので、それらの影響は自分の中で長い時間をかけて徐々に熟成されているように感じています。
そんなミュージシャンが、この時代にそういう人生の終え方を選んだという事に思いを馳せつつ、謹んでご冥福をお祈り致します。